泣き虫 笑福(わらふく)の在宅介護回顧録

約19年にわたって父を在宅介護してきた時に某SNSに綴っていた「介護日記」の振り返りです。

2015年3月4日の【介護日記】から

父は要介護5だからといって、何もできないわけではありません。

父は“介護をされる側”のプロ。介護実習を自らの体を使って学生に経験させる“先生”です。これはどんなに優秀な教官にだってできません。

教官までもが父に敬意を払って「学生に学ばせていただき感謝しています」と。

この時父についていた学生さんも、今は立派な看護師になっていることでしょう。

 

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【介護日記】2015年3月4日

 

今日は入院以来初めて父は入浴をさせてもらったそうです(母の報告より)。

一昨年の入院時、入浴によって体調を崩したことに懲りていたこともあって、退院してからいつもの訪問入浴まで待とうと思っていたのですが、ちょっと入院が長引いていることと、在宅といろいろなことが異なることでオムツ交換も気の済むまで十分にできなくて鼠蹊部ただれてしまったこともあって、入浴させてもらうことを決意。

そのため母は十分な準備をして今日は病院へ出向きました。自分が率先して入浴補助をするために。


入浴は無事終了したそうですが、それで父は疲れたのでしょう、今日はいつもより早く爆睡状態になり、消灯時間を過ぎても覚醒せずにうつらうつら状態。そのため今日は昨日より少し早めに帰宅できました。


ところで現在、父のところには看護学生さんが実習でついていて、担当看護師さんに付きながら、いろいろなことを勉強しています。

私は、仕事を休んで日中も父に付き添っていた先週に会ったきりですが、父のような要介護5のような患者はほとんどいないようで、学生さんにとってはとても貴重な体験のようです。

「差し支えない範囲でいいので、介護をしていて大変だったこととかいろいろお話し聞かせていただきたいのですが・・・」と言ってきたので、私は「何でも聞いてください。すべて話します。話せないことなんてありません。辛いことも悲しいことも、介護に携わってきた家族の声を聞いてご自分の糧にしてください」と言い、たくさんたくさん話しました。

また、実習時間外になってしまうにもかかわらず、私が「もしよかったら口腔ケアをやるので、見学がてらお手伝いしていただけませんか?」というと、何と教官を伴って来てくれました。

教官と共に「へー」とか「わぁ!」とか言いながら、実際のやり方を一所懸命見てくれました。

で、今日は父の入浴も、がんばって参加してくれ、実技を学んだそうです。

入浴終了後、彼女は「私ほど貴重な体験をしている実習生は他にいないと思います。自分の経験を胸を張って報告できます」と母に話したそうです。


一昨年の入院時も、父には実習生がついて学んでいきました。

父は、寝たきりになってもなお、人に役立つことをしています。父によって心優しい優秀な看護師が生まれると、娘の私は父を誇りに思います。

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